第30回 江戸っ子、伍代夏子。珠玉の78曲。
2012/11/19
紅白出場18回を数える演歌会の大御所、伍代夏子さん初の5枚組BOX。昭和62年のデビュー曲「戻り川」から、最新ヒット「海峡の宿」、美空ひばりの名曲カバーなど、なんと収録は全78曲。やっぱり演歌、そして伍代さん、とくれば筆文字しか考えられないでしょう! とのデザイナーさんからのリクエストにお応えして、私がタイトル文字をお手伝いしました。
伍代さんといえば、杉良太郎さんの奥様であることに加え、2010年にはC型肝炎への感染を公表したことでも知られています。魚屋の娘として育った江戸っ子気質。艶っぽさだけでなく、その逞しさも彼女の根強い人気を支えています。
http://www.110107.com/mob/pageShw.php?site=OTONANO&ima=1117&=godai&cd=godai
第29回 生まれ来た新しい命と、親の想いと
2012/11/12
今年は、「命名札」をたくさん頼まれた年でした。新しい命の誕生を大切にしたい、家族の一人として丁寧に迎えたい、そんな思いが「命名札」には込められています。そしてどの名前にも、両親の熱い願い、そしてひたむきな愛情が溢れていて、書き手の僕まで凛とさせられる思いでした。大切な人たちへの心からのお祝いの気持ちを筆に含ませて、一枚一枚、大事に書かせて頂きました。新しい命の将来に、幸多かれと祈りつつ。
第28回 絶叫、情熱、感激・・・西城秀樹!
2012/11/05
24時間テレビでの復活には、思わずウルッときた世代は多いはず。永遠のヤングマンはやっぱり歌手だったのだ、ということを改めて実感したワンシーンでした。
時を同じくして、立て続けに彼のCDに私の文字を提供しました。病魔と闘う彼に向けて、むしろ熱いメッセージになればと思って筆を持ちましたが、特に5枚組のBOXのジャケットでは、本人の姿まで隠れるほどの「絶叫」「情熱」「感激」の文字。赤く燃える文字が、西城秀樹の燃える世界とマッチしてか、レーベルもびっくりの売行きだそうです。それが復活へのはなむけになれば、僕にとっても幸せなことです。
http://www.geocities.jp/cultmandu/review03/review579.html
http://www.110107.com/mob/pageShw.php?site=OTONANO&ima=0632&cd=hideki_kangeki_song
第27回 「歌人」~今年も新米の季節
2012/10/31
先日、縁あって山梨県・北杜市まで稲刈りに出掛けてきました。実は春に田植えをした苗を、自分たちで収穫しようという趣向。あの小さな芽から育ったとは思えないほどたわわに実った穂を、ザクザクと刈り取る時の手応えは何とも言えぬ快感でした。今回収穫したのは「古代米」と呼ばれる黒米です。白米に混ぜて炊くとほんのりと赤く色づくお米ですね。
農家の方の話を聞けば、「米」という字は「八十八」という文字から出来ている、つまり八十八の手間がかかるものだ、との言い伝えがあるくらい、お米を育てるのは大変なことだというのがわかります。日常を離れての貴重な経験でした。
そんな折、今年も京都・奥丹後より、新米がとれました、との便り。私がお手伝いしたこの筆文字も、なんだか嬉しそうに輝いて見えます。こうしてつつがなく、一年ぶりの新米を頂くことのできる喜びをかみしめながら、今年もいよいよ残るところあと2ヶ月あまりとなりました。
第26回 扉座「端敵・天下茶屋」~勢いに乗る横内脚本
2012/10/25
10/17(木)幕開けの扉座の新作は、六角精児さん、久しぶりの舞台主演。「タイトルは昭和の映画館の看板風に・・・」というリクエストに応え、あの頃の看板の文字、をイメージして書いてみました。自分にとってもこの書体は、新作です。
ちなみに端敵(ハガタキ)というのは、脇の敵役という意味。演出家の横内さんによれば、小物の敵が物語の本筋に関係なく、チョロチョロ出てきては悪さをしてゆく。大敵ではないから、途中であっさり退治されたりします。この作品ではそんな端敵・元右衛門が主役になって、深い理由のない場当たり的な悪事を次々に起こしては、物語を掻き回してゆく・・・。あー、楽しそう。
それにしても、「紺屋高尾」「オリビアを聴きながら」「つか版・忠臣蔵」・・・と最近の横内脚本は珠玉の名作ばかり。頑なに劇団演劇のポリシーを守り続けるその姿にも拍手。ぜひ皆さまも劇場へ!
http://www.tobiraza.co.jp/kouen/kouen2012/hagataki_tengachaya_201210.html
第25回 横内脚本の『つか版・忠臣蔵』
2012/05/17
毎回私がタイトルの筆文字をお手伝いしている、劇団扉座の次回公演『つか版・忠臣蔵』のビジュアルが完成!
題材が忠臣蔵なのでそれなりに重厚に、でも遊び心のある舞台なのでどこか少しコミカルに・・・そんなイメージで書いてみました。あとはとにかく、横内さんの脚本の完成が楽しみ♪
今回の公演では、このビジュアルを使ったオリジナル土産『忠臣蔵ごま餅』も発売予定。ぜひチケットと併せてお買い求めください☆
http://www.tobiraza.co.jp/kouen/kouen2012/tukaban_chushingura_201206.html
第24回 そして今年も、母の日、父の日。
2012/05/01
今年も、私がお手伝いしたパンフレットが、全国のサークルKサンクスの店頭に並ぶようになりました。今年の母の日は5/13(日)、父の日は6/17(日)。ウィキペディアによれば、南北戦争中のアメリカで、敵味方を問わず負傷兵を看護するために地域の女性を結束させたアン・ジャービスという女性の死後、その娘のアンナが亡き母親を偲んで記念会をもったのが、「母の日」の起源と言われています。1908年、最初の「母の日」にアンナが配った赤いカーネーションが、以後、母の日のシンボルとなり、1914年にはアメリカの祝日になりました。お母様が亡くなってしまっている人でも、白いカーネーションで故人を偲び、冥福を祈るならわしもあるそうです。
今年はいつもの筆文字から少し離れて、文字通り、私の手書きの文字をタイトルに使って頂きました。本文中の見出しや吹き出しなどの手書き文字も私が書いています。デジタル時代にあっては、かえってアナログな手書き文字の方が優しさも伝わるのでは、というのがその狙いです。ぜひ、手に取ってご覧になってみてください。
ところでこのパンフレットの中で見つけた「お父さんに贈りたい、男スイーツ」の特集。コーヒーロール、壷入りプリン、クレムブリュレ・・・。草食男子ならぬ、スイーツ好きお父さんに向けた企画。こんなところにも時代の変化は訪れていました。
【サークルKサンクス「母の日」ギフト】
トップページ
https://www.cksu-okurimono.com/pc/index.html
ペラペラめくって読めるデジタルパンフレット
http://cksu-okurimono.info/pc_catalog/book0047-2.html
第23回 街に溢れるそば、そば、そば。。。
2012/04/20
「名代富士そば」「小諸そば」「吉そば」「ゆで太郎」「そじ坊」「讃岐うどんはなまる」「梅もと」「真希そば」「丸亀製麺」・・・。最近、首都圏や関西圏を中心に、立ち食い蕎麦のスタンドが熱い、といろいろなメディアが報じるようになりました。なるほど街を歩けば、それこそコンビニエンスストア並みに、至る所に蕎麦店が。高級志向や本物志向が強まる一方で、早くて安くて、でも結構美味しい立ち食い蕎麦の魅力が再確認されているとも言えるでしょう。
ところで、多くの人が目にしながら案外気が付いていないのが、あらゆる蕎麦店の看板が“筆文字”で書かれていること。下に各店のHP等を列記しておきますが、フォントを使っているものも含め、なんと全店、お店の名前には筆文字が使われています。
パスタでもピザでもなく、日本人のハートをくすぐる和食の王様であり、なおかつ、「手軽で簡単な食べ物だけれど、でも一つ一つ丁寧に手作りしていますよ」、というイメージを伝えるために、こうした手書きの文字は、実は縁の下で大きく貢献しているのです。同時に、チェーン展開する店舗には、看板を見た瞬間に「あ、食べたい♪」と思わせる個性的なブランドと親しみやすさが必要。そういう意味でも、このデジタル時代の全盛期にあって、アナログな手書き文字はその立ち位置をガッチリ掴みつつある、と言えるでしょう。
きのこやよこちゃん
http://www.kinokoya-medas.com/index.html
名代富士そば
http://fujisoba.co.jp/
小諸そば
http://www.k-mitsuwa.co.jp/komorodiv/index.html
北前そば高田屋
http://www.takada-ya.co.jp/
木屋
http://www.kiyafoods.co.jp/kiya_index.html
越後そば
http://www.clea.co.jp/echigosoba.html
手打ちうどん杵屋
http://www.gourmet-kineya.co.jp/search/list.php?gid=28&erid=1
そじ坊
http://www.gourmet-kineya.co.jp/search/list.php?gid=11&erid=21
名代箱根そば
http://www.giraud.co.jp/hakone/index.html
駅そばあじさい茶屋
http://www.nre.co.jp/shop/brand/ekisoba/menu.shtml
讃岐うどんはなまる
http://www.hanamaruudon.com/
梅もと
http://www.umemoto21.co.jp/
真希そば
http://r.gnavi.co.jp/a433300/
第22回 映画『私の叔父さん』
2012/03/05
連城三紀彦原作の同名の小説を、細川辰興監督が映画化したもの。プロデューサーの嶋田さんからの依頼で、私がタイトル文字を書くことになりました。
後から聞けば、「主演は高橋克典さんでして・・・」。彼は4歳の時からの幼馴染みで、私にとってはよき兄貴。ぴあの仕事ではなく、「筆文字」を通して彼の仕事に関われたことが嬉しくて、人と人との不思議な縁に何だかじーんと来た出来事でした。
監督からのリクエストは、「恋する人を想いながら、少女が自分で書いたような、どこか牧歌的な優しさを持った文字」。さて、実際の映画に使われているのは一体どの文字でしょうか?
正解は2012年3月公開の劇場で!
(監督/細川辰興 主演/高橋克典・寺島 咲 制作/アイエス・フィールド)
第21回 求められる“心のスパイス”
2012/02/08
東日本大震災で大変な被害を受けた宮城県・女川(おながわ)町。ボランティアによるここでの炊き出しがきっかけとなり、地元の食材を使ったカレーが「女川カレー」として東京で商品化されることになりました。避難所に身を寄せる小さなお子さんからお年寄りまでが、安心して美味しく食べられるように、と工夫された優しい味のカレーです。
炊き出しのお手伝いに行かれない分、せめて何かの役に立てたら・・・と思って、題字のお手伝いさせて頂きました。復興への道程はまだ始まったばかり。これから必要なのは、被災地を応援する心のスパイス。まだまだ試作品とのことですが、明るい未来への小さな一歩になればと思っています。
(企画/蓮見太郎)
「YOMIURI ONLINE(読売新聞)」より
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20111226-OYT8T00458.htm
第20回 謹んで新年のお慶びを申し上げます
2012/01/01
ご存知のように昨年の漢字は、「絆」でした。
確かにこの言葉が選ばれた背景にはいろいろな意味があったと思いますが、ある後輩がこんなことを言っていました。
~“戦後”社会は、良かれ悪しかれ、「絆」を切る方向性だったように思います。つまり、「絆」が弱っているから、その大切さに気づいたということであって、「絆」が強いと感じたわけではないのです。今度は、どうやって「絆」を作っていくかを考え、実践することが求められるように思います~
その通りかもしれない、と思いました。
たとえば「祭ばやし展」を通じて、自分は何をしたいのだろうかと時々考えていたのですが、あ、まさにこれだったのかなと。
電話もそう、ネットとかメールとかFacebookとか、「絆」を深めているようで実は遠ざけているものがどんどん普及して、それこそ、同じものを見たり食べたり同じ時間を過ごしたりして共有できたはずの感動や絆が、時を経るごとにどんどん薄れてきてしまったのだろうと思います。
アナログでモノを作る、余計な時間をかける、リアルな場を作る、そして人と直接出会う…。自分はそんな「絆作り」がしたかったんだろうな、だからこうして22年も展覧会を続けてこられたのかな、と、今さらながら感じました。
この一年が、皆さまにとって本当に素晴らしい年になりますように。
「筆文字散歩」の軌跡(2011年)はこちら